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第200号
着る着せる オレンジベストの 合言葉

安全衣を着用し操業を

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北海道の各浜には数多くの催事があり、個人的にも新造船の進水や日々の大漁の時など祝いことに喜び合うものである。しかし一方ではこれまた数多くの悲哀を感じることがある。その最大の悲しみは海難死亡事故であろう。
海中転落事故や衝突・転覆などにより一瞬にして尊い人命と貴重な財産を失う。一家の大黒柱を失ない悲しみにくれる妻や子そして多くの仲間違の嘆き。そうした事故の中で救命胴衣さえ着用していると助かったかもしれない仲間。不幸にして亡くなられても行方不明にならずにこ遺体は家族のもとに帰られた仲間。そうした不幸を無くすために、海難防止センターを核に従来の悪評高かった救命胴衣にかわり着やすく作業性の良い常時着用型の安全衣が研究・開発されました。
現在全道の各浜で製作された安全衣の着用促進の啓蒙普及清動が展開中ですが、理屈ぬきで着用するのは漁業に携わる皆さん方です。各浜で理解され着用を推進し、ストップ・ザ海難死亡事教を園り、「イイグナッタナ、オラドコの浜は皆んなが安全衣を着るようになってイガッタナ!」と言いあえる、すべての協同。系統運動にも通じる「プラス指向の良かったね運勤」を展開していただき、日々あるいは毎年「マイナス指向の駄目だったね」ではなく大漁で事故もなく今日もあるいは今年も良かったねと全道の漁業者が笑顔のたえない、明日に夢と希望のもてる浜にするためにも、安全衣を常時着用して操業して頂きたいと思います。
家族の一言命を守る

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昨年四月に渡島支庁に着任してから、漁協や各種協議会、部会などの総会や役員会、市町村や漁協職員との会議や研修会等で何十回となく海難防止と安全衣の着用について訴え続けてきました。当管内では、ここ数年減少していた漁船の海難事故が、残念ながら平成八年はニケタの11件と増加しました。事故の通報が入る度に、無事を祈りながら浜へとんでいきますが、私には関係者への励ましと捜索活動を見守ることしかできません。そんな自分自身にもどかしさを覚えます。
本年一月に当支庁主催で「管内海難防止推進会議」を開催したところ、漁業者を始め、漁協や市町村職員など多数の出席があり大変な好評を得ました。北海道漁船海難防止センター、函館海上保安部、道南漁船保険組合のこ協力に感謝中し上げます。私書がいくら声を大にして訴えても、沖に出たら白分の命は自らが守るしかありません。標語の「声かけて皆んなで着ようオレンジベスト」を合言葉に「おはよう」「こんにちは」と同じ位、しつこく、しつこく、ご主人や子供産に安全衣の着用について声をかはていただきたいと思います。
家族の愛情あふれる一言が、私達の何十回、何百回の呼び掛けにも勝るのです。皆さま方の無事故と大漁を心から願っております。
常時着用の実践を!

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平成八年に室蘭管内で発生した海難の約七割は漁船であり、結果として尊い人命や財産が失われており、これらの海難原因の大半が見張り不十分、気象。海象の不注意、船位の不確認等人為的なものに起因するものばかりであり、海難に伴う死亡行方不明者の多くは救命衣を着用していれば悲惨な結果にならなかったのではなかろうかと思われます。では何故救命衣を着用しないのかとなれば、理由は色々あるのでしょうが、よく耳にするのが作業がしずらいということです。こうした視点にたって、北海道漁船海難防止センターが中心となって「着やすく、通気性・作業性のよい」常時着用型安全衣を開発されたことは、漁業者の皆様はもとより、私どもも誠に心強いものがあります。
しかし、いかに立派な安全衣を開発し備え置いても、自分が実際に着用しなければ自分の命は守ることはできません。皆さん側々の責務において、救命衣の常時着用を実践し、自分の安全イコール家族の安心であることを今一度再認識していただきたいと風います。私どもも今後地域のニーズに応えて万全を尽くす所存でこざいますので、こ理解、こ協力の程をよろしくお願いいたします。
事故を契機に委員会設置、安全衣着用を徹底

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平成六年一月十二日、外国船籍の大型貨物船との衝突事故が原因で、船主を合む乗組員四名全員が死亡するという大事故をきっかけに、二度とこの様な惨事を繰り返してはならないと言う強い意のもと、当組合は地域に先がけて「海難事故防止対策委員会」を設立致しました。
以来、海難事故防止対策については全てこの委員会を中心として取り組む体制に致しました。
具体的な活動については、毎年漁業毎に出漁期に合せた満難事故防止講習会の開催、婦人部活動に連動した家族全員での「海難防止に対する意識の高揚」等に努め、「海難事故ゼロ」を目指しております。
又、海難事故防止対策委員会の発足を契機に組合員と乗組員全員に対して救命用安全衣着用の徹底を図る為に、一着当り三千円の助成を実施したり、所属漁船全船に「安全標語」と「罰則規程」を書いたシールを配布しております。
そのほか、漁業部会独自に毎年新しい安全衣を配布して着用の撤底に努めている事例もあります。
あの事故以来まる三年、海難事数死ゼロ1130日を継続中でありますが、ともすれば生産の蔭に追いやられてしまい、薄れがちに成ってしまう「海難事故防止に対する重識」を組合員と乗組員、そして家族、我々関係者全員が持ちつづげて行くよう運動を推進して行き度いと考えております。

安全衣を着用して助かった事例

平成七年度八年度の二ヵ年間「着やすく、通気性、作業性のよい」小型漁船用常時着用型安全衣の啓蒙普及講習会を開催、着用の促進を図ってきました。その結果救命衣(安全衣)の着用の義務化が図られるなど、着用は年々増えており、次のように着用していて助った事例があります。
(小樽支部)
ウニ漁船A丸(0.3トン一人乗り)は、平成八年七月、泊漁港沖を航行中、定置網のロープに船外機が接触、そのはずみで海中に投げ出された。
僚船がA丸の動きに不審を感じ、近づいたところ、救命衣を着用して浮いているのを発見、救助した。
ウニ部会は、この漁期から救命衣の着用を取り決め、操業をしていた。
(胆振支部)
ホッキ桁びき漁船T丸(2.8トン二人乗り)は、平成七年七月二十六日午前九時十分頃、白老沖にて操業中、マンガンを巻き上げ中に電動ウインチのヒューズが切れて、ウインチが逆回転したため、網に入った漁獲物等が海中に落下し、その反動によつて船体が瞬時に傾き転覆した。
船長ほか一名は、海に投げ出されたが救命衣を着ていたため落ち着いて船体につかまって、救助を待っていたところを仲間に発見され救助された。
(日高支部)
ハタハタ漁船M丸(1.0トン二人乗り)は平成八年十一月二十五日午前六時四十分頃、えりも町笛舞沖において操業中、船尾から高波を受けて転覆。
僚船が、船体で救助を求めている乗組員の救出を試みたが波が高く困難であった。
船体が岸寄りに流されてきたので、救命衣を着用していた二人ば、海岸に泳ぎ着き、救助された。
(釧路支部)
コンブ漁船C丸(0.6トン一人乗り)は、平成八年五月八日午前四時十五分頃、厚岸湖内の漁場向け航行中に他船の航走波を受け、船長はそのはずみで身体のバランスを崩して海中に伝落した。
その後該船は無人となって回転航走したため船にもどることができなくなったが、救命衣を着ていたため陸に向って20〜30メートル泳いで、漁船が係船する杭につかまっていたところを、仲間に発見され救助された。
(宗谷支部)
ナマコ桁びき漁船S丸(5.0トン一人乗り)は、平成七年七月八目午前六時四十分頃、宗谷漁港沖にて操業中に、桁網の胴尻に砂が入ったまま巻き上げを続けたところ船体が傾斜して転覆した。
船長ほ海に投げ山されたが、救命衣を着ていたため漂流していたところを、付近で操業していた僚船に発見され救助された。
このほかにも表には出ていないが、救命衣を着用していて助かった例が数多くあり「命に着せるオレンジベスト」を裏付けております。

 

 

 

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